2012年12月2日日曜日

自分の中に毒を持て(1993)

著者:岡本太郎−芸術家


 「道で仏に会えば、仏を殺せ」−よく解らないけれどもなんだか凄みのあるこの言葉に、僕は惹かれた。生きるということは、自分を殺すことらしい。

 自己啓発本を超えた自己『爆発』本である。よく『魂を踊らせろ』というフレーズが出てきて、僕はそれを感覚的にわかったつもりで居た。左右の側面をぶち抜いて、直線に飛んで貫いて行くことだと思っていた。しかしそれは違うらしい。彼に言わせれば、それはそれで甘えた考えだと言う。解らなくもないのだ。しかしそこで、その甘えた自分を殺す、そこで血を吐いて、ようやく魂を踊らすことが出来るのだという。そうだろう、その通りだろうと今なら解るのだ。生きることは辛いことだ。

 加えて、彼は何か創造をすることが、人生を実りあるものにすると言っている。消費の空しさは、僕も皆も本当はよく知っている。もう完成度は気にしない。少なくともしばらくは、常に生み続けようと思う。自分と愛する人の人生に、色を付けよう。

 混沌と苦悩を経て、いつか大きく羽化したい人に、是非読んでほしい一冊。

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