この本について
全く脈絡も何もないが、おもしろそうなので手にとってみた。(ニュージーランドの)ロビイストのための手引書である。実用書なので要約は省く。
ロビイングの極意とは、一言でいうと、議員との共通の利益を見つけ出し、それを売り込むことだ。選挙区制が1996年に変革されてからロビイングの仕方も変わり、それまでの小選挙区制では大臣相手にするものだったのが、比例代表との併用制になったので議員へのロビイングも有効になった。本書では平議員へのロビイングを中心に解説されている。
ニュージーランドでは酒類業界(または其の反対勢力)がもっとも大きなロビイング集団らしい。小選挙区制では大政党の党議拘束が厳しく、平議員が自らの裁量で投票できるのはドラッグ、性、死刑制度くらいなもので、これらがロビイングの主な領域だった。比例代表を一部導入したことで、連立政府が成立する可能性が高まり、複数与党が互の腹を読み合う機会が増えたため、ロビイングの重要性と有效性が高まったのだ。
本書では議員のことを「無能」呼ばわりしないこと(はじめから喧嘩腰のロビイングは成功しない)、議事堂の部屋を借りて議員と面会するとき、代金は全てロビイスト側につけられること、その他、議員の習性、かれらが何を考えているかなどの記述が続く。
私は国内のロビイング活動についての知識は全くないが、この本を読んでいてなにかしっくりこないことがあった。気づいてみれば、それはニュージーランドの国家としての規模が圧倒的に小さいからなのだ。一院制で議席は120ほど。全人口は400万強(!)。小さな国の、ロビイングというあまり注目を浴びない話題の、本。おもしろかったが、一体誰が読むのだろう。
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